vol.06【企業インタビュー】日産工業 代表取締役 木村武広さん「ものづくりは面白い。次の世代に繋げたい思いがある」
今回は、こちらの代表取締役である木村武広(きむらたけひろ)さんにお話をうかがいました。
職場体験では、身をもって体験し、確かめることができる。
こちらの会社では、若者サポートステーション(以下、サポステ)の職場見学や職場体験を受け入れてくださっています。
まずは、2日間の職場体験を経て採用となった藤村さんについて印象をお聞きしてみると、「とにかく飲み込みが早い」とのこと。
CADのお仕事の体験をし、そのまま採用になった藤村さん。始めは順調でしたが、半年経った頃に思うように仕事が進まなくなります。面白くなくなってきたんじゃないだろうか——藤村さんが悩んでいることは、木村さんも感じていたそうです。
そこで、たまたま空きがあったレーザーの仕事を藤村さんに任せてみることに。機械操作の覚えは相変わらず早いし、木村さんとしてもこちらの方が向いているかもしれない、という感覚があったそうです。CADもレーザーも、身をもって体験してくれてよかったと話します。
「彼がおらんかったら誰にしてもらおうって感じですね。そのくらい成長してる。頑張りましたね。最初は、仕事をするってこと自体よくわからないところからのスタートやったと思う」
今ではすっかり現場で頼りにされている藤村さん。木村さんは「彼と話していて面白い」と、嬉しそうに話してくださいました。
サポステの職場見学や体験についてもお聞きしてみました。
「面接になると、どうしてもお互いに固くなってしまうところがある。面接の前に、雰囲気を見たり、自分が働いている姿をイメージしたり、そういうワンステップがあった方が企業側にとってもいいのかもしれないですね。続いてくれる人がいてうちも助かってます」
【先輩インタビュー】日産工業 藤村さん「やっと続けられることに出会えた。“とりあえずやってみよう”を重ねて、今がある」こだわれる仕事ができる。 ものづくりの素晴らしさを知ってもらいたい。
実践的な教育を心がけている木村さん。「ものづくりの素晴らしさをわかってもらいたい」と話します。
「難しいことなんですけど、うちは、職人を目指してもらいたい気持ちがある。ただ、若い人がいきなりなれるものではなく、経験を積んでいくしかない。職人を目指す過程をどのようにサポートしていくかが課題ですね」
学んでいく順番や興味の持って行き方等、教える上で考えることがたくさんあると言います。だからこそ、自分の持ち場だけでなく他の作業に興味を持ったり、新しいことに挑戦しようとする現場の若い人の姿は、木村さんにとってとても嬉しいことなのでしょうね。
職場体験でも、身をもって体験できるかどうかを重視し、内容を考えてくださっています。
「例えば、図面であってもテストサンプルではなくて、うちが実際作っている物の図面を書いてもらう。その方がいいです」
ここまで実践的だからこそ、興味が持てるかどうかや向き不向きを丁寧に確かめることができるのですね。
ものづくりの仕事は、「こだわりのある人が向いている」と話します。
「“こんなもんでいいか”って止めてしまうよりは、“ここまでやりたい”と思える人。仕上がりが綺麗か汚いかって判断の時に、細かく気になる人の方がいい。こだわれる仕事ができる、と思っていただけたらいいかなと思います」
「いい言葉」の共有で育まれる現場。次の世代へ残したい言葉、伝えたい思いがたくさんある。
ものづくりの業界は、いわゆる「3K(※きつい、汚い、危険の、3つの労働環境を意味する俗語)」と言われることもあります。この先入観とも言えるイメージをいかに払拭するかが、木村さんの関心の一つになっています。
ちょうど「先入観」について考えていた時、メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手の「先入観は可能を不可能にする」という言葉が心に残ったと、手帳を開く木村さん。いい言葉だなぁと思いメモしたそうです。こんな風に響いた言葉があると、手帳に書き留めるようにしているのだとか。
「時が経ったら忘れるんですけど、また手帳を見返したら繋がってきたりして。繋がる瞬間が言葉にはあって、そこが面白いと思って続けています。自分の言葉でも、だからこういうことを言ってたのかと、後になって分かったり」
工場内には、いくつか標語が掲示されてありましたが、中には社員の方が考えた言葉もありました。木村さんから伝えるだけでなく、現場のみなさんからも思いついたことを出してもらって共有しているそうです。
社長から現場から、色々な言葉が生まれ、育まれ、浸透する。そういう循環があるのかもしれませんね。
これから仕事に就こうとしている若い人たちへ伝えたいことは、「まずやってみること」。なんと藤村さんと全く同じメッセージになりました!
できるだけ制限してしまわず、現場の意見を取り入れて仕事を進めている木村さん。失敗してもいいし、その仕事が得意でなくても、「そんなに悪くない」と思えたらそれでいい。長い目で自分を見て、どんどんチャレンジしていってほしい。そんな思いが込められていました。
サポステの職場体験では、失敗しても立ち上がれる場所があります。自信がなくても大丈夫と言ってくれる人がいます。 もしあなたが一歩踏み出すことに悩んでいたら、まずはサポステの門を叩いてみませんか?
(取材:中井・靍)
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