vol.01【先輩インタビュー】あすか燻製工房 前川さん「不安だらけの中、がむしゃらにやっていくうちに、見えてきた自分の道。」
奈良県は明日香村。岡寺へと続く古都の情緒あふれる通りの中に、とある工房があります。
「さくらバーガー(外部リンク)」の直営工房である、ここ「あすか燻製工房(外部リンク)」にて加工から商品管理、販売まで、あらゆる作業をほぼ1人でこなす前川さん。
実は、若者サポートステーション(以下、サポステ)の職場体験を経て、就職されました。
そんな前川さんに、これまでの道のりをお話いただきました。
これからどんな仕事を選んだらいいのだろう?
30歳を過ぎて、悩みながらの一歩だった。
「年齢が30だったし、本当に違う業界に行って大丈夫なのかとか、前の仕事を諦めていいのか、これまでやってきたことを無駄にしてしまわないかって。不安でした」
明るく爽やかに我々を出迎えてくれた前川さんですが、サポステの門を叩いた頃は、この先どうしていいかわからない状態だったそうです。
職種を変えるするなら20代のうちの方が良かったのではないかという後悔や、前職への未練など、いろいろな思いが巡っていました。
「前の仕事でしんどくなってしまった部分もあった。仕事を変えたい気持ちもあって、葛藤がありました」
実は、以前は大手電機メーカーで勤めていた前川さん。開発やグラフィックデザインの仕事をしていましたが、職場の雰囲気が自分に合わないと感じながら働き続けるうちに、体調を崩してしまいました。
「無理していたところもあったかもしれないですね。最低3年は続けようという思いもあって、しんどいなと思いながらも続けてしまった。体調を崩すことも癖のようになってしまっていました。結局4年半で辞めたんです」
さくらバーガーで職場体験をした後、開発やデザインの仕事も諦めきれずほかの企業にも見学に行ったそうで、決断には時間がかかりました。
ただ、前職とは違う仕事をしてみたいというほのかな好奇心と、職場体験でなんとなく掴んでいた感触を信じて、さくらバーガーでの就職に踏み出しました。
うまくいかなかったとしても、「社会復帰の一歩になれば」という感覚だったと話します。
どうせやるなら、好きなことをがむしゃらにやった方が楽しい。
思わぬところでキャリアが繋がっていく。
無事就職が決まった前川さんですが、前向きな気持ちばかりではないスタートでした。
さらに、あすか燻製工房の新規オープンも控えていたのでとても忙しく、「とにかく目の前のことをがむしゃらにやった」と言います。
ただ、がむしゃらにやっていくうちに、お店の売り上げに貢献できたり自分の成長を感じたりすることが嬉しく、少しずつ達成感を得られるようになりました。
そんな中、あるときふと思い立ち、店の張り紙や商品紹介などの掲示物を作成し、オーナーに見せたのだとか。
「デザインの仕事は、好きなのでやっぱり生かしたいなと思って。自分で働くところなんだから、自分ができることはやってみようと思いました」
その後、オーナーからデザインの仕事の依頼が来るようになりました。
オーナーが頼ってくれるようになって、仕事のモチベーションが上がったと言います。
さくらバーガーで使用しているメニュー表も、オーナーと相談しながら前川さんが作ったのだそうです。
デザインの仕事をあきらめての再出発でしたが、今ではすっかりデザイナーの役割も担っています。
これまで積み重ねてきたことは、無駄にはなりませんでした。
「ただ働かされている状態だと辛かったと思います。前の仕事がそうでした。自分の好きなことをがむしゃらにやった方が楽しいです」
「ごまかし」でもいい。
サポステに来て、何か行動するだけで、前に進んでいる気持ちになれる。
強みを生かして働き、しっかりと自分の居場所を築いていった前川さん。
ここまでの道のりには、「サポステでお手伝いしてもらって、改めて自分を見つめ直すことができたのは大きかった」と言います。
「前職はつまづいて辞めてしまったので、次の仕事はじっくり相談して決めたい」と考えていた前川さん。
転職サイトや他の支援機関をいくつか検討し、「ここならじっくり話を聴いてもらえる」という理由でサポステを選んだのだそうです。
そこで、サポステで話した内容や、利用してみての感想を聴いてみました。
「面談の中で、前の仕事で成功した体験や得意だったことを書き出してみようってことがあって、そこで何が強みだったのかがわかりました。とはいえ、その時点ではポジティブには思えない気持ちもありました」
と、正直に語ってくれた前川さん。さらに、さくらバーガーに就職したらどんなことがしたいかを考えて書く、ということもあったそうですが、それも無理やり出したような面もあるとはにかみながら教えてくれました。
しかし、心と体がだんだん元気になってくると、「こういう強みを生かしてやっていけばいいな」という感覚を徐々に掴んでいくことになりました。
ある時ふと振り返ってみると、サポステの面談時に考えていたことが、ほとんど達成されていたそうです。
「面談で話したり書いたりしていたことが、無意識に残っていたのかもしれません。あのときじっくり考えていたから、達成できたんだと思います」
面談だけでなく、サポステで実施しているセミナーやイベントにも参加していたそうですが、その時はどんな心境だったのでしょうか。
「参加している時はすごく元気なんですよ。グループワークに参加したり、面談を進めたりすると、勘違いでも前に進めた気がする(笑)。でも家に帰った途端落ち込んでいました」
サポステに行く用がない日は気分が沈んで、家でずっと寝ていたと言います。先の見えない不安と戦う日々。
ときには、「ごまかし」くらいの気軽さや寛容さも必要なのかもしれません。
「そのごまかしがあったから、一歩踏み出せたんだなと思います」と振り返っていました。
今後は、あすか燻製工房での仕事を続けつつ、自分の強みを生かせる仕事があれば、場所にはこだわらずにやっていきたいそうです。
「得意なこと、好きなことがはっきりしているから」とのこと。
かつて、「今後どうしていいかわからない」と途方に暮れていたことが想像もできないくらい、頼もしく、すがすがしい一言でした。
世の中には、あなたがまだ見ぬ仕事、職場がたくさんあります。
相談してみること、職場体験を利用してみることは、きっとあなたの未来を変えるための一歩になります。
ぜひサポステの門を叩いてみてくださいね。
(取材:中井・靍)
先輩&企業インタビュー
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